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Kanako Takayama

詳しいプロフィールはウェブサイトにあります。 1996年から2000年まで、GANZ PRIVAT という日記をつけていましたが、トラブル発生により停止。 この度、職員組合の委員になったので、組合の活動と共に、研究者・教員としての活動も期間限定でお知らせすることにしました。 ブログ初心者です! 本ブログは、京都大学職員組合のウェブサイトとは関係なく、委員長が個人で開設しているものです。 公式サイトはこちらです。 ※ 2013年7月からは「副」委員長になりました。

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2014年8月

2014年8月26日 (火)

京大総長・理事・職員のファーストクラス使用

現在、賃金訴訟で、京大法人は支出を節約できたはずだという陳述を行う予定です。
その準備の一環として、法人文書開示請求をいくつか進めています。
京大では、法人本部の旅費が、毎年数億円単位で増加しています。

賃下げ中であった2012年12月に、山中伸弥先生のノーベル賞受賞に、随行者として渡航した人の旅費を開示してもらいました。

松本紘総長、小寺秀俊理事と、
総務部長、渉外部長、研究国際部国際企画課長の、計5名が、約100万円のファーストクラス航空券で渡航。
派遣職員を含む職員9名が、約60万円のビジネスクラスで渡航。

合計、旅費だけで1000万円を超える支出です。

開示された文書の一部です▼▼▼
Nobel_ryohi.pdfをダウンロード

これらの方々は、招待者ではないのですから、
私費で渡航すべきではないでしょうか。

2014年8月23日 (土)

「ダンスとドラッグ調査」結果が出ました!

調査結果:
「薬物使用経験」ありの回答者数は以下。
「ダンス+飲食営業店」 955人中35名=3.665%
「ダンス教室、ホール」 661人中1名=0.151%
合計 1616名36名2.228%

厚労科研の調査の10分の1。Dance_drug1

Dance_drug2

Dance_drug3

Dance_drug48/9の記事で紹介させていただき、私自身も参加したアンケート調査です。

詳しくは、岩村健二郎先生のfacebookページをぜひご覧ください。

2014年8月17日 (日)

風営法の規制強化は司法によって否定される

警察庁・自民党がクラブ等の深夜営業を許可制にすることを検討しているとの報道がありました。
しかし、風営法改正がこれだけになってしまった場合には、裁判所の判断と抵触することになるおそれがあります。

NOONが摘発されたのは、21:43であった
ことを忘れてはなりません。NOONは

・ 深夜営業なし
・ 未成年者なし
・ 騒音なし

・ ドラッグなし
・ ケンカなし

・ ギャル付けなし
・ 近隣トラブルなし

のお店です(疑う方は一度お訪ねください)。
NOONを新たな規制の対象に置くに等しい趣旨の法改正は、裁判所によって否定される結果になることが目に見えています。
そして現在、深夜のスポーツバー営業は届出制です。
これが許可制になれば、明らかな規制強化なのです。
誤った報道に惑わされてはなりません。

みんなでスポーツ観戦することが原則禁止なら、
ラーメン屋にTVを設置するにも警察の許可が必要
になってしまいます。

大阪地裁のNOON無罪判決は、このような考えに立っていません。
この判決はその「第4」で、最高裁判所の無罪判決の基準をそのまま適用(最判平成24年12月7日刑集66巻12号1337頁――危険のない行為は処罰されない――)して無罪の結論を出していますので、上訴審でも、この判断が覆ることはまず考えられません。

NOON無罪判決

をもう一度見て、利権への固執が維持できるものかどうかを考えていただきたいと思います。
以下に、重要部分のみ抜粋して掲載させていただきます。

---<以下、判決の抜粋>---------------------

第3 3号営業の規制の目的について

 風営法は,風俗営業を営もうとする者に対し,風俗営業の種別に応じて,営業所ごとに,都道府県公安委員会の許可を受けることを義務付け(3条1項),人的事由及び物的事由の双方から許可基準を定めるとともに(4条),許可を受けないで風俗営業を営んだ者に対しては,2年以下の懲役若しくは200万円以下の罰金に処し又はこれを併科することとしている(49条1号)。そして,風営法2条1項は,その3号において「ナイトクラブその他設備を設けて客にダンスをさせ,かつ,客に飲食をさせる営業(同項1号に該当する営業を除く。)」を,風俗営業の一つとして定めている。このように,本件各規定は,3号営業を無許可で行った者を処罰することとしてその規制を図っているが,これは,設備を設けて客にダンスをさせ,かつ,客に飲食をさせるという営業が,その具体的な営業態様によっては,わいせつな行為の発生を招くなど,性に関わる風俗秩序(以下「性風俗秩序」という。)の乱れにつながるおそれがあることから,一定の基準を満たした場合にのみ営業を許すこととして,善良な性風俗秩序を維持するとともに,併せて少年の健全な育成に障害を及ぼす行為を防止することを目的とするものと解される。

 他方で,3号営業に関する規定の中に規制薬物の使用や取引を防ぐことを目的に含んでいるとうかがわせるものはなく,3号営業の内容と規制薬物の蔓延との間に一般的な関連性が認められるわけでもない。また,3号営業から生じる騒音又は振動による周辺環境の悪化については,風俗営業ではない深夜における飲食店営業に対しても同様の騒音又は振動規制が課されていること(風営法32条1項1号,2項,15条,施行規則74条6号),カラオケ店やライブハウスのようにその営業態様から一定の騒音を生じることが想定される営業が風俗営業とされていないことなどからすると,この点が,3号営業を風俗営業として規制する本質的な理由と解することはできない。さらに,営業所内における粗暴事案の発生防止についても,そもそも風営法の目的である「善良の風俗と清浄な風俗環境」の保持という文言にそぐわない面がある上,深夜における酒類提供飲食店営業が,飲酒の影響によって同様に粗暴事案の発生を招くおそれがあるにもかかわらず,風俗営業とされていないことからすると,3号営業が風俗営業としての規制を受ける根拠を積極的に基礎付けるものとはいえない。

 よって,本件各規定は,「設備を設けて客にダンスをさせ,かつ,客に飲食をさせる」という営業の内容が,その具体的な営業態様によっては,歓楽的,享楽的な雰囲気を過度に醸成し,わいせつな行為の発生を招くなど,性風俗秩序の乱れにつながるおそれがあることから,一定の基準を満たした場合にのみ営業を許すこととして,業務の適正化を図ることによりその弊害の発生を防止し,善良な性風俗秩序を維持するとともに,併せて少年の健全な育成に障害を及ぼす行為の防止を図ることを目的とするものと解される(なお,風営法2条1項4号の規定と対比すると,3号営業のうち「客に飲食をさせる」行為は,性風俗秩序の乱れを助長するものとして位置付けるのが相当である。)。

第4 風営法2条1項3号所定の「設備を設けて客にダンスをさせ,かつ,客に飲食をさせる営業」の意義について

 本件各規定による3号営業の無許可営業規制は,職業の自由(憲法22条1項)を制約するものであるほか,後記第5の2のとおり,場合によっては表現の自由(憲法21条1項)の制約にもなり得るものである。そうすると,本件各規定の規制対象となる営業については,これらの憲法上の権利を不当に制約することのないように,規制目的との関係で必要かつ合理的な範囲に限定すべく,慎重に解する必要がある。このような観点を踏まえて,前記第3のような本件各規定による規制の目的のほか,当該規定が刑罰法規の構成要件となることを考慮して検討すると,許可の対象とされる3号営業とは,形式的に「ナイトクラブその他設備を設けて客にダンスをさせ,かつ,客に飲食をさせる営業」との文言に該当することはもちろん,その具体的な営業態様から,歓楽的,享楽的な雰囲気を過度に醸成し,わいせつな行為の発生を招くなどの性風俗秩序の乱れにつながるおそれが,単に抽象的なものにとどまらず,現実的に起こり得るものとして実質的に認められる営業を指すものと解するのが相当である。そしてこのようなおそれが実質的に認められるかどうかは,客が行っているダンスの態様,演出の内容,客の密集度,照明の暗さ,音量を含む音楽等から生じる雰囲気などの営業所内の様子,ダンスをさせる場所の広さなどの営業所内の構造設備の状況,酒類提供の有無,その他性風俗秩序の乱れにつながるような状況の有無等の諸般の事情を総合して判断するのが相当である。

第6 本件公訴事実記載の日時場所における営業が3号営業に当たるか

2 前記第4で論じた解釈を踏まえた検討

 前記認定事実によると,本件イベントにおいて客がしていたダンスは,流れていた音楽のリズムに合わせてステップを踏んだり,それに合わせて手や首を動かすというものが大半であり,比較的動きの激しいものでもボックスステップを踏んだり腰をひねったりするという程度で,客同士で体を触れ合わせて踊っていたこともない。したがって,客のしていたダンスそれ自体が性風俗秩序の乱れにつながるような態様のものであったとはいえない。また,DJブースやモニターがあったフロアでは,DJが英国のロック音楽を大音量で流すとともにこれに合わせてモニターに映像が流され,客を盛り上げるような演出を行っていたこと,その結果,フロアにいた客はDJブースの側により多く集まり,近いところでは客同士が30cm程度の距離にあったことが認められるが,客同士が接触するような状態には至っておらず,フロアでもその時々によって椅子に座って音楽を聞いている客もいたというのであるから,単に音楽や映像によって盛り上がりを見せていたという域を超えていたとは認めることができない。そのほか,本件イベントにおいて,来店する客に露出度の高い服装の着用を促すなど,殊更にわいせつな行為をあおるような演出がされていたなどの事実は認められない。
 以上の事実を総合すると,酒類が提供されており,フロアが相当程度暗い状況にあったことを踏まえても,本件当日,本件店舗において,歓楽的,享楽的な雰囲気を過度に醸成し,わいせつな行為の発生を招くなど,性風俗秩序の乱れにつながるおそれが実質的に認められる営業が行われていたとは,証拠上認めることができない。
 そうすると,被告人が,本件公訴事実記載の日時場所において,本件各規定の構成要件に該当する行為,すなわち3号営業を無許可で営んだということはできないというべきである。
---<引用終わり>---------------------

Yuukyoo ヒビキラーさんのTwitterにありました遊興飲食税ポスター

2014年8月10日 (日)

クラブは薬物濫用を抑止していることが同じ研究から明らかに

クラブ来場者の4人に1人が危険ドラッグを経験、との報道の論拠とされ、研究手法がずさんだとの批判を受けている、厚労科研報告書「クラブイベント来場者における違法ドラッグの乱用実態把握に関する研究」(2013)ですが、刑事法の観点で見ると、全く逆の結果が見えてきます。

この調査が、そもそも「クラブ→薬物乱用」の因果関係を示すことのできない質問項目の立て方になっていることは、岩村健二郎先生などが指摘されるとおりです。
しかし、限られた情報からだけでも、むしろ反対に、クラブが薬物濫用を抑止していることが示されていると思います。
以下、法務省法務総合研究所「犯罪白書研究会」委員としての経験に基づきコメントします。

上記報告書は、脱法ドラッグ経験群においては、
・ 問題飲酒行動や違法ドラッグ濫用が多い
・ クラブを自分にとっての居場所と位置づけている人の割合が高い
としています。

しかし、脱法ドラッグ経験者における使用場所は、
自室37.3%、友人・パートナーの部屋36.0%、路上や公園21.3%、車内18.7% > クラブ16.0%
と、クラブでは、さほど長時間を過ごさないと思われる「路上や公園」「車内」よりもさらに低くなっています。

したがって、サンプル数が非常に少ないながらも、私の仮説は次のとおりです。

(1)クラブは、社会的疎外感を持つ若者を受け入れ、人目のある場所に集めることで、薬物濫用を抑止している。

(2)クラブでは、仲間とのつながりや人目の存在を意識できることにより、犯罪全般を防止する効果も期待できる。

これは、
・ 身近な人の見守りや、防犯カメラの効果を重視する、一般的な犯罪学的知見
・ クラブ関係の方々から実際にお聞きする意見
にも合致すると思います。

なお、上記報告書について次の点を付言します。
・ 「クラブ→薬物濫用」の因果関係がないのに、一部薬物を「クラブドラッグ」と呼ぶのは適切ではありません。
・ セックスのためのドラッグは夫婦や恋人の間で使われることが多く、子どもを授かりたいカップルについてまでコンドーム不使用を問題視すべきではありません。

2014年8月 9日 (土)

サルサ愛好者のみなさんへ(~8/9)

パライソ(旧スダーダ)さんからのお知らせです。
facebook から転載させていただきます。

※追記: ラスリサスでは不実施となり、ぺぺ2と日暮里サルーが追加実施だそうです。
閉店までまだ間に合います。今からでもお出かけを!

------------<以下、転載>-------------

風営法改正に関するアンケートへのご協力のお願い。

風営法改正の議論も大詰めになり、警察側も改正反対理由を述べていますが、警察が提出した資料の中に以下のような物がありました。 (以下、早稲田大学准教授  岩村健二郎氏のパブリックコメントから抜粋) 

警察が調べたものではないのですが、国立精神・神経医療研究センターの「クラブユーザーにおけるMDMA等のクラブドラッグ乱用実態に関する研究」という調査があります。...  10年度のクラブ利用者へのアンケートで、生涯の薬物使用履歴が34%近くとなっています。国内の一般住民(15~64歳)では約3%ですから、10倍以上ですね。とりわけ多いのが大麻です。  薬物使用のタイミングも調べていて、「クラブと関係ないタイミング」が約7割。「クラブに行く前」「クラブで遊んでいる間」「クラブで遊んだ後」 を合わせた、クラブに絡むタイミングは3割ほどです。精神的な高揚感を得るために薬物を利用している実態が、客観的に裏付けられていると思います。(引用以上)

早い話、上記のような信憑性があるのか無いのかよく分からない、またどこのお店で出した結果か分からない統計結果を出し、クラブがいかに反社会的な場所であるかアピールしたのです。  皆様サルサクラブにいらっしゃる方々はよくわかっていると思います。 そうです。我々にとっては全くデタラメな統計結果です。  そこで今回、本当に時間がないのですが、今週の金、土曜日に当店、エルカフェ、カリベ、アセーレ、ラスリサス でドラッグの使用経験に関するアンケート調査を行いその結果を風営法改正議論の会議に提出します。  私達、サルサクラブ、お客はドラッグ等に全く関係ないと警察にきっぱりと主張をしましょう!!
アンケート用紙は Paraiso ではエントランスに置いてあります。スタッフにお尋ねください。

Salsaantidrug_2

2014年8月 7日 (木)

風営法パブコメを提出しました

本日15時頃に提出しました。

質問票

▼▼▼ 私が出したコメントのファイルです ▼▼▼

public_comment_Takayama.pdfをダウンロード

以下、同じ内容のテキストです。

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「客にダンスをさせる営業に関する風営法の規制の見直しに当たって考えられる論点」に対する意見

平成26年8月7日

<氏名>              高山 佳奈子
<連絡先>           606-8501 京都市左京区吉田本町
                                         京都大学大学院法学研究科    

<電子メール>    takayama@law.kyoto-u.ac.jp
<現職>           京都大学大学院法学研究科教授
                       国際刑法学会本部事務総長補佐    
                       比較法国際アカデミー会員
                       日本刑法学会理事
                       日独法学会理事
                       協会理事
                       日本学術会議連携会員
                       経済産業省産業構造審議会臨時委員
                       学術審議会臨時委員
                       京都府青少年健全育成審議会委員

  上記<現職>、および、平成24年度文部科学省委託事業「ドーピングに対する法的制裁制度に関する調査研究」(日本スポーツ仲裁機構)ワーキンググループリーダーとしての経験に基づき、「客にダンスをさせる営業に関する風営法の規制の見直しに当たって考えられる論点」(以下、「考えられる論点」とします)について、次の意見を提出します。

(1)3号営業

ア 風俗営業からの除外

  風俗営業からの除外の必要性
 ダンスは法的に規制すべき危険性を含まない活動であるため、ダンスをさせる営業を風俗営業から除外することが適当である。以下がその理由である。
(i) ダンスの社会的危険性の不存在
 「考えられる論点1(3)」に列挙されている諸問題はいずれも、ダンスが原因となって発生しているものではない。また、統計的にも、ダンスをさせる営業が行われている場所と、満員電車や路上などの他の場所とを比較して、前者のほうがこれらの問題の発生率が高いことを示す事実は存在しない。これは、「考えられる論点1(3)」で「4号営業については、問題となるような事案はほとんど発生していない」とされることと平仄が合う。3号と4号との相違は「飲食」のみである。つまり、問題のほとんどは過度の飲酒から生じていることが論理的に導かれる。
 風営法違反被告事件であるNOON事件第一審無罪判決(大阪地判平成26年4月25日・平成24年(わ)1923号)は、NOON店内で客によって行われていた活動が危険性を欠くものであることを理由とした。これに対し検察側が控訴中であるが、その控訴趣意書においても、「ダンス」を伴う営業が伴わない営業よりも危険であることの論証が全く試みられていない。とりわけ、過度の飲酒の場合と比較した場合の「ダンス」の危険性への言及は皆無である。
(ii) 実質的危険性を欠く行為の処罰の違憲性
 風俗営業は許可なく行うと無許可営業罪で処罰されるが、最高裁判所の判例によれば、危険性のない行為を処罰の対象とすることは許されない。すなわち、最高裁は、国家公務員の政治的行為の処罰に関し、「『政治的行為』とは、公務員の職務の遂行の政治的中立性を損なうおそれが、観念的なものにとどまらず、現実的に起こり得るものとして実質的に認められるもの」のみを指すとした上で、被告人の政党機関誌配付行為は「公務員の職務の遂行の政治的中立性を損なうおそれが実質的に認められるものとはいえ」ず「本件罰則規定の構成要件に該当しない」として無罪の結論を採用している(最判平成24年12月7日刑集66巻12号1722頁、堀越事件)。憲法31条の要請である実体的デュープロセスからは、実質的に危険性の認められる行為だけが刑罰法規の対象たりうるのであり、ダンスをさせる営業の危険性が合理的に説明できない以上、これを犯罪とすることは憲法上許されない。
 なお、上述のNOON事件第一審判決が述べるとおり、風営法の規定は、事業者や客の表現の自由に対する制約になりうる。たとえば、社交ダンスには「床」と「音楽」が不可欠であり、映像芸術表現には通常スクリーンの設置を要する。したがって、「営業」の規制が「表現」の規制にもなる場合には、仮に経済的自由の規制根拠となる危険性があったとしても、それだけでは不十分であり、いっそう高められた危険がない限り規制は憲法違反となる。
(iii) 規制による通報阻害がもたらす逆効果
 「考えられる論点1(3)」に掲げられている問題のうち、「薬物売買・使用」については、「容疑」としか書かれておらず、「薬物売買・使用事案」となっていない。これは、実際に3号営業が行われている場所での摘発がないためであろう。検挙「事案」がないのに「容疑」があることの2つの背景として、(a)別の場所で検挙された者が「知らない人からクラブで薬物を入手した」と(虚偽の)供述をする例があること、また、(b)現実に薬物取引があっても、店が無許可営業であるために、警察への通報が回避されることがある。
 上記NOON事件の第一審公判でも指摘されたことであるが、薬物事犯に限らず、各種犯罪が発生した場合に、(b)の理由で通報が行われなくなるおそれがある。つまり、規制の存在によって、かえって犯罪対策が阻害されることになる。この点は、「規制改革実施計画」が、「優良企業が新規参入を見合わせるなど、健全なダンス文化やダンス関連産業の発展の支障になっている」と指摘する問題にも連なる。
(iv) 風営法の目的外適用の違法性
 さらに、「考えられる論点1(3)」で列挙されている問題はすべて、すでに他の条文ないし法律での対処が予定されている行為である。この点も上記NOON事件第一審判決が指摘するとおりである。
 すなわち第1に、「騒音」は、騒音規制法(昭和43年法律第98号)、都道府県の拡声機暴騒音規制条例などで規制されているほか、とりわけ、風営法自体が直接的に「深夜飲食店営業」について振動と共に規制している(15条、32条1項1号・同2項)。深夜以外の騒音についても、ダンス営業規制が捕捉するものではない。なぜなら、身体運動自体から音がほとんど出ない以上、踊ることによる騒音の発生はありえないからである。騒音は「ダンス」ではなく「音楽」の問題である。したがって、深夜以外の騒音については、街頭演説やライブ演奏、カラオケバーなどと同じく、「音声」や「音楽」を用いた表現・営業活動全般に対する規制の問題として扱う必要がある。だが、騒音規制全般を風営法で扱うことは適切でない。
 第2に、「い集」については、音楽、映像、ダンスや飲食を一緒に楽しむために店に客が集まっている状態は通常これに含まれないと解され(最判平成19年9月18日刑集61巻6号601頁参照、広島市暴走族追放条例事件)、憲法21条1項の保障する集会の自由および表現の自由との関係で、法的規制が許されるのは、高度の社会的危険性を有する行為に限られると解される。それらは、組織犯罪処罰法、暴力行為等処罰法、暴力団員による不当な行為の防止等に関する法律、地方自治体の条例などによりすでに規制されている。
 第3に、「年少者の立入り」については、年少者が中に入ること自体の何が問題であるのかが書かれていないが、中学校の体育でダンスが必修化されていることから、「ダンス」ではなく「飲食」が問題とされているものと解される。すなわち、立入りそのものではなく酒類の提供が問題であり、これは未成年者飲酒禁止法で規制されている。親子連れでレストランに立ち入る場合と同じである。
 第4に、「店内外における傷害事案」は、刑法で処罰されている。
 第5に、「もめごと等」については、意味が不明であるが、法的規制の対象たりうる行為と理解するならば、強要罪、脅迫罪、侮辱罪等として処罰されうるほか、民法上の不法行為として損害賠償・差止請求の対象となり、正当防衛によって排除することもできる。
 第6に、「薬物売買・使用容疑」については、(iii)で述べたとおり、事実的基礎のない「容疑」である場合も考えられるが、薬物売買・使用「事案」であれば、薬物事犯として各種法令で処罰されている。
 第7に、「女性に対する性的事案」は、刑法、軽犯罪法、ストーカー行為規制法、地方自治体における迷惑行為防止条例等で処罰対象となっている。
 第8に、「考えられる論点1(3)」では言及されていないが、ごみ投棄は、廃棄物の処理及び清掃に関する法律、興行場法、各地の廃棄物処理条例、軽犯罪法などにより規制されており、暴行・器物損壊はそれぞれ刑法で犯罪として処罰されている。
 さらに、上記第4、5、7、8は、過度の飲酒が原因となって生じる可能性が考えられるところ、酒類の提供は、未成年者飲酒禁止法以外にも、食品衛生法、酒税法等で規制され、飲酒による害は、道路交通法や「酒に酔つて公衆に迷惑をかける行為の防止等に関する法律」等により処罰の対象とされている。また、風営法自体が深夜酒類提供飲食店営業について届出制を定めている(33条)。なお、「ダンス」と酒類の弊害との間には相互促進関係が存在せず、むしろ逆に、酒を飲み過ぎると踊れなくなるという抑制的関係が認められよう。
 結論として、これらの問題は、「ダンスをさせる営業」の規制目的ではない。従来、上記の問題が生じた場所で営業を行った者を「ダンスをさせる営業」の罪で摘発したことは、一種の別件捜査であり、問題が大きい。これらは本来、上記各犯罪の共犯としての要件を満たさない限り、処罰しえないものである。また、大部分の犯罪については未遂や予備が処罰されていないことにも注意を要する。「ダンスをさせる営業」に代わる新たな規制を創設しようとすることは、これまで違法に行われてきた取締りの権限を今後も維持しようとする試みにほかならず、憲法31条が求める実体的デュープロセスに反する措置である。
(v) 風営法の目的
 (iv)で述べた諸問題への対処はダンス営業規制の目的ではない。1948年の立法事実から明らかなとおり、ダンス営業規制の目的は売春の防止である。しかし、1956年に売春防止法が制定され、売春周旋等罪(6条)などによって売春の危険のある行為が包括的に処罰対象になったことから、ダンス営業規制はその役割を終えたと考えられる。実質的に効力を失った法律が削除されずに残存することはしばしばあるが(たとえば尊属殺人罪は1995年、優生保護法は1996年、北海道旧土人保護法は1997年まで存続)、規定の有効性は憲法に照らして判断されることになる。条文が存在しさえすればその適用が許される、ということにならないのは、ナチスの法律を想起すれば一般市民にも理解されよう。
 なお、風営法1条は「少年の健全な育成に障害を及ぼす行為の防止」を目的として規定しているが、これが「あらゆる危険からの少年の保護」を意味するものではないことは明らかである。もし少年の全般的保護を目的とするものであるならば、風営法ではなく「少年保護法」となっているはずである。したがって、少年を「何」から保護するかが問題であり、それは、風営法の目的規定にいう「善良の風俗と清浄な風俗環境」を害する行為にほかならない。このことも、上記NOON事件第一審判決が述べるとおりである。
 青少年保護を目的とする刑罰法規としては、刑法の法定強姦・強制わいせつ罪処罰規定以外にも、児童福祉法、いわゆる児童買春・児童ポルノ処罰法、いわゆる出会い系サイト規制法、未成年者飲酒禁止法、未成年者喫煙禁止法、各都道府県の青少年保護条例などの特別刑法が多数存在している。風営法が少年保護の一般規定だということはありえない。

  別途の法的規制の必要性の不存在
 上記(i)のとおり、ダンスはそもそも法的に規制すべき危険性を含まない活動であるため、ダンスをさせる営業に別途の法的規制を設ける必要はない。
 また、上記(iv)のとおり、「考えられる論点1(3)」で挙げられる諸問題にはすべて現行の他法令ないし他条項による対処が予定されており、ダンス営業規制による対応は違法であると考えられる。さらに、それらの問題への対処は、(iii)で述べたとおり、ダンス営業規制の存在によってかえって阻害されている疑いが裁判上も指摘されている。
 「規制改革実施計画」は騒音対策を提言しているが、これは「音」を使った表現・営業活動全般にかかわるものであり、風営法による対応は不適切である。騒音対策は、本来的には各地域における自主的な話し合いによって講じられるべきであり、それが不十分である場合には、各地方自治体の条例によって対応するのが望ましいと考えられる。文化・産業の特性や、学校・医療施設などの所在は、地域によって千差万別だからである。現在すでに、東京・大阪・福岡などで、店舗と地域住民との間の自主的な協力が開始されており、こうした取り組みの効果を失わせない政策が必要である。

  客に遊興をさせる営業の見直しの不要性
(vi) 閣議決定に反する提言を行う権限の欠如
 「遊興をさせる営業」の拡大解釈による規制強化は、「規制改革実施計画」が見直しの必要性を指摘した3点の事項の中に含まれていない。したがって、本論点が挙げられているのは不当である。規制改革会議は規制緩和による文化・産業の発展を提言しているのであり、規制強化による警察の権限保持を提言するものではない。
(vii) 日本の現行法制における「遊興」の意義
 「考えられる論点3(1)ア【参考】※2」の、「客にダンスをさせることも遊興に当たる」という説明は誤りである。
 第1に、このことは風営法の規定形式から明らかである。風営法制定当時の「風俗営業」は、「待合、料理店、カフエーその他客席での客の接待をして客に遊興又は飲食をさせる営業」、「キャバレー、ダンスホールその他設備を設けて客にダンスをさせる営業」、「玉突場、まあじやん屋その他設備を設けて客に射幸心をそそるおそれのある遊技をさせる営業」の3種類であった。その後、「客にダンスをさせる営業」の実態が多様化したため、営業形態に応じて「キャバレー等」、「ナイトクラブ等」、「ダンスホール等」が区別されたとされる(蔭山信『注解風営法I』108頁、115頁)。つまり、当初は「ダンス」が売春の危険を孕むと考えられたために、(a)「客席」で「接待」および「遊興又は飲食」をさせる営業と並んで、(b)「設備」を設けて「ダンスをさせる営業」が規定された。(a)(b)が異なる類型として想定されてきたことは明らかである。(a)の類型の典型例は現行の2条1項2号と同じく、「待合、料理店、カフエー」であって、ダンスのための設備を予定したものではない。これは現行の2号でも同様であり、「遊興又は飲食」が行われる設備と、「ダンス」のための設備とは異なるものが想定されている。2号に「前号に該当する営業を除く。」と注記があるのは、1号と重なり合う部分が存在しうることを示すものである。重なり合いは存在するが、一方が他方を完全に包含するのではない関係にあることが前提である。もし、「ダンスをさせること」がそもそも全面的に「遊興」にあたるのであれば、1号と2号との関係は全く説明できない。ここでは、1号・3号・4号が分かれてきた際のような営業形態による説明も成り立たない。
 第2に、「ダンス」と「遊興」が別物として観念されてきたことは、歴史的経緯からも明らかである。日本法における「遊興」は、もともと、旧「遊興飲食税」の対象として規定された概念であり、その内容は「芸者等の花代」である。たとえば、総務省が公表している「平成25年度 地方税に関する参考計数資料」(http://www.soumu.go.jp/main_sosiki/jichi_zeisei/czaisei/czaisei_seido/ichiran06_h25.html)の「17 地方税の税率等の推移」の33頁目「7. 特別地方消費税(料理飲食等消費税、遊興飲食税を含む。)」(http://www.soumu.go.jp/main_sosiki/jichi_zeisei/czaisei/czaisei_seido/pdf/ichiran06_h25/ichiran06_h25_17.pdf)にそのように記載されている。
 第3に、このことは現行の他法令における「遊興」の意義からも明らかである。現行法上、「遊興」が実質的意味をもって規定されているのは、更生保護法51条における「特別遵守事項」に関してのみである。同条の内容は次のとおりである。
 1項「保護観察対象者は、一般遵守事項のほか、遵守すべき特別の事項(以下「特別遵守事項」という。)が定められたときは、これを遵守しなければならない。」
 2項「特別遵守事項は、次条の定めるところにより、これに違反した場合に第72条第1項、刑法第26条の2及び第29条第1項並びに少年法第26条の4第1項に規定する処分がされることがあることを踏まえ、次に掲げる事項について、保護観察対象者の改善更生のために特に必要と認められる範囲内において、具体的に定めるものとする。
 1号 犯罪性のある者との交際、いかがわしい場所への出入り、遊興による浪費、過度の飲酒その他の犯罪又は非行に結び付くおそれのある特定の行動をしてはならないこと
 <以下略>」
 つまり、「遊興」は、「浪費」のおそれのある産業の利用であることになる。ダンスは浪費に結び付く活動ではなく、「遊興」に包含されないことがわかる。
 第4に、このことは日本国憲法の解釈からも導かれる。もし仮に、「考えられる論点3(1)ア【参考】※2」が述べるように、「営業者側の積極的な行為によって客に遊び興じさせること」を広く含むと解するなら、表現の自由や営業の自由のみならず、憲法の規定する「幸福追求権」(13条)、「健康で文化的な」最低限の生活を送る権利(25条1項)、および、子どもを始めとする国民が「教育を受ける権利」(26条1項)の重要部分を正面から否認することになってしまう。そのような解釈はありえない。「遊び興じさせること」を原則禁止とするならば、ダーツ、手品、ハロウィン仮装パーティ、子ども向け遊具の提供など、飲食店で広く行われている「遊び」にとどまらず、祭りなどの日本の伝統文化・芸能の価値をも否定することとなりかねない。
 したがって、現行法上の「遊興」は、「芸者等の花代」またはそれに類する、浪費のおそれのあるサービスの利用のみを意味すると解される。このような限定解釈は憲法上の要請である。
(viii) 規制強化への疑問
 (vi)で指摘したとおり、そもそも「遊興」概念による規制強化の検討は、閣議決定である「規制改革実施計画」に反する。このような論点の立て方は、警察が、ダンスをさせる営業に対する規制権限を失うため、これに代わる新たな規制権限を設けたいと考えているようにしか理解されない。現在、ダンスを原因とする犯罪が1件も報道されないのに対して、警察官の不祥事は毎週のようにニュースになっている。また、日本の治安状況は改善しており、刑法犯の認知件数は平成14年の3,693,928件に対して平成24年には2,015,347件に減少した。特に少年犯罪については、少子化の影響を除いて少年人口10万人あたりの一般刑法犯の発生率で見ると、平成15年の1265.4件に対して平成24年には666.5件と激減している。このような中、警察が、社会にとって危険でない、本来取り締まられるべきでない活動を摘発し、権限維持に固執しているかのような印象を社会に与えれば、警察に対する社会の信頼は大きく損なわれかねない。社会に対し実質的な危険をもたらす行為こそが規制されるべきであり、そうでなければ、たとえば、危険ドラッグの実質的な危険性についての啓発活動も説得力を失うであろう。少年保護の観点では、厚生労働省が、児童虐待相談対応件数が平成24年度に66,701件に達し、平成11年度の約5.7倍にまで増加したと発表したことが注目される。関係省庁の協力によって児童の保護を強化することが、喫緊の課題になっているといえる。世界一安全な国の1つである日本の治安維持には、警察に対する社会の信頼が不可欠である。これをいっそう高めるためには、真に必要とされる犯罪対策の推進こそが望まれる。
 また、国際的な産業競争力・文化発信力の推進という面でも、ダンスを含む営業の規制は深刻な懸念を生じさせる。外国からの観光客や、研究者・留学生の招致を進めてグローバル化を図っているときに、中学校の体育で必修化されている活動を行わせる営業を禁止し、その趣旨や範囲が理解困難であるということになれば、国際社会からの非難を浴びることは必至である。経産省などが中小企業や地方の商業活動の保護育成に取り組み、国家全体として規制緩和による地域経済の振興を図っているのに、ダンスを含む営業に対する規制により(a)若者が集まらない町になってしまうことや、(b)労働時間帯の多様化によって夜にしか余暇を楽しめなくなっている人を差別することに対しては、地域の商店街などからも批判が出ている。また、オリンピックを迎える東京を始めとして、繁華街においては、地域経済の活性化を超えて、文化・産業の国際競争力の強化も目指されている。国際的な文化発信の町として外国人来訪者を集める六本木には、年間数十万人の来場者のいるクラブもあり、そこでは、質の高いサービスを安全に提供することで、ますます町の魅力を国際的に高める努力が払われている。世界水準のサービスを目指す店では、セキュリティチェックや年齢確認も厳密に行われ、地域住民との協力により経済の活性化を図っている。 

イ 営業時間規制の緩和の必要性

  午前1時以降の営業の必要性
 「規制改革実施計画」に決定されたとおり、深夜営業の禁止は解除される必要がある。規制の実質的根拠が存在しないにもかかわらず、例外なく全面禁止としてきた従来の規制は、営業の自由を過度に制約するものであって違憲であると考えられる。
 現代の日本社会は、夕方に終業となる者ばかりではない。深夜にしかスポーツのできない者はそのために必要な活動を保障される(最判平成21年3月26日63巻3号265頁参照、防犯用品の装備)。たとえば、夜半過ぎまで勤務の終わらない者が、心身の健康のために短時間サルサを踊ってから帰宅しようと考えても、現状では許可を取得して営業する場所がないといった問題がある。
 カラオケや居酒屋は1時以降にも営業が可能であるのに、それよりも健康で文化的な活動を多く含みうるダンスのための場所が全く提供できないことは、規制の根拠の点でも手段の点でも、比例原則および平等原則に反する。

  深夜営業に必要な規制 
 上記(iv)で挙げた現行の規制が必要であることが考えられる。これ以外に新たな規制を設ける余地は論理的に考えられない。(i)で述べたとおり、ダンスはそもそも法的に規制すべき危険性を含まない活動であり、ダンスをさせる営業の時間を拡大しても社会的危険は増大しないからである。

  繁華街における環境浄化対策
 「考えられる論点3(1)イ」が「繁華街の在り方を変えることにもつながる」とすることの意味が不明である。ダンスをさせる営業が行われると、なぜ、どのように繁華街のあり方が変わるのかが示されていないためである。変化として考えられるのは、ダンス人口が増えて人々の健康が増進し、経済が活性化することなどの、良い影響である。
 ダンス自体が危険を惹起しないことは、(i)で述べたとおりであり、他の問題への対策は他の条項・法令によって予定されるものであることは、(iv)で述べたとおりである。
 特に、望ましい環境浄化対策は、地域の自主的な取り組みによるべきであり、現在すでに各地でその試みが開始され、効果を上げていることを再度強調したい。

ウ 他の風俗営業の規制のあり方

 (vi)で述べたのと同じく、「他の風俗営業の規制」の強化は、「規制改革実施計画」が見直しの必要性を指摘した3点の事項の中に含まれていない。したがって、本論点が挙げられているのも不当である。それだけでなく、「他の風俗営業」は3号営業に含まれないのであるから、本項目の中にこの論点が書かれていることは論理的にも誤っている。このような論点の立て方は、(viii)で述べたとおり、規制改革会議の提言に反して、規制強化による警察の権限保持を図ろうとするものであるとしか理解しえない。

(2)4号営業

ア 規制の対象からの除外

(ix) 経済的損失の可能性
 4号営業を風営法の規制の対象から除外することにより生じうる問題は、現在存在する規制によって経済的利益を得ている者(資格を得てダンスを教授する者や行政書士)に経済的損失が出ることである。これについては3点を指摘したい。
 第1に、「考えられる論点1(2)【参考】」の「既に多くのダンススクール営業は風俗営業の対象外」という説明は事実に反する。日本で教授されている圧倒的多数のダンスにおいては、教授のための指定団体が存在しない。ことに、中学校の体育で必修化された3類型のダンス、すなわち、(a)創作ダンス、(b)フォークダンス、(c)現代的なリズムのダンス(ヒップホップ等)については、1つも存在しない。これらのダンスの大部分の教授については、ダンスの性質上、資格付与を想定することが困難である。そこでは、職業選択の自由において、適用除外となっているダンスの場合と比較して不合理な差別が生じている。
 第2に、したがって、本規制は憲法上本来あるべきでない規制であり、そこから発生する利権も本来認められるべきでない利権である。
 第3に、しかし、法改正によって生活の基盤が危うくなるなどの事情がある場合については、経過措置として、補助金の給付等の対応を考えるべきである。

(x) 規制がもたらす懸念
 (viii)では規制によって及ぼされる文化・産業への悪影響を指摘したが、4号営業の規制についてはこれと同じ問題があるほか、外交関係への悪影響も懸念される。
 本年新たに、アルゼンチンタンゴの団体が、4号の適用除外の資格を得た。これは、アルゼンチンと日本とを逆に置き換えて見れば、「日本舞踊を教授する者を養成する団体を、アルゼンチン警察(国家公安委員会)が指定している」のと同じである。アルゼンチンタンゴ関係者は、このような現状が望ましいものと考えているわけではなく、取締りを避けるためにやむなく指定団体を組織したのである。
 ダンスを教授する活動のために来日する外国人は、ビザを取得する必要がある。だが、たとえば、アルゼンチンからアルゼンチンタンゴ教師を招へいして講習会を開催しようとする場合に、日本の国家公安委員会が指定する団体によって認められた資格を持たなければ、その活動は無資格の職業活動であることになる。ブラジルからサンバ教師を招へいしてサンバ講習会を開催する場合には、団体がないので、およそ日本で資格を取得する余地がない。この問題について、各種ダンスの発祥国であってダンスが文化・産業の両面で重要な位置を占めるラテン諸国を始めとする各国の公館や、外務省との協議が十分にできていることはうかがわれない。さらに、ダンスが必修化された学校教育および東京オリンピックを担当する文部科学省、ダンスの健康増進効果による高齢者等の医療費抑制に利害関係を有する厚生労働省、国際的な産業競争力の向上を目指す立場にある経済産業省などの他の関係機関との協議は十分になされているのか。これが示されなければ、規制についての国民の信頼を得ることはできない。

イ 問題のある営業が出現した場合の措置

 (viii)で指摘したのと同じく、論点の立て方が閣議決定の方針に反するものであって疑念を生じさせる。それを度外視しても次のような疑問がある。
 第1に、「仮に」は無根拠であり、現実的な危険性が全く指摘されていない。実質的危険がなければ規制が許されないことは、上記最判平成24年12月7日刑集66巻12号1722頁の判示するとおりである。
 第2に、「いかがわしい出会い系ダンスホール等の営業」が具体的にどのような営業形態を想定しているのかが不明である。例示すらないため、これについて一般市民から適切な意見徴収を行うことは不可能である。
 第3に、これを「風営法の目的に反する営業」と理解したとしても、売春防止法で対応できるので問題ない。逆に言えば、「売春防止法の適用対象とならないが風営法の目的に反するために法的規制を要する営業」の具体的形態が想定できない。規制目的を、上記NOON事件第一審判決のように「性風俗秩序の乱れにつながるおそれのある」行為の防止として売春の防止より広く理解したとしても、公然わいせつ罪(刑法174条)およびその共犯や軽犯罪法違反の罪(1条20号、露出行為)が加わる程度であると考えられる。新たな規制を設ける余地はない。
 第4に、いずれの問題もダンスとの関連性を欠いており、4号営業の自由化の文脈で論ずべき問題ではない。

(3)1号営業および2号営業

 両者が分けて規定されている経緯は、(vii)で述べたとおり、当初はダンスの有無によって条文が書き分けられていたところ、「客にダンスをさせる営業」の実態が多様化したために、「接待」を含む「キャバレー等」が分離されたというものである。法制定当時の書き分けは、ダンスが売春の危険を含むと考えられたことによる。(i)で述べたとおり、現在はそのような事実が存在しなくなっている。ダンス自体に危険性がない以上、「ダンス」の有無による区別には実益がない。「接待」の有無を基準とし、1号営業と2号営業とを統合することが合理的である。これにより、たとえば、キャバレーであるかどうかが微妙な営業に1号と2号とのいずれを適用すべきかなどといった無用の問題が解消され、実務上のメリットがある。

以上

風営法パブコメをご提出いただきました

風営法のダンス営業規制の見直しにかかるパブコメを、私の呼びかけに応えて、六本木V2 TOKYOさんに最大手クラブ経営者の立場からご提出いただきました。
ご本人の了承を得まして、転載させていただきます。

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警視庁生活安全局保安課企画係 パブリックコメント担当 御中

「客にダンスをさせる営業に関する風営法の規制の見直しに当たって考えられる論点」

当社は六本木においてV2 TOKYO、ELE TOKYOなど、所謂3号営業の規制の対象となっているクラブ事業を行っている会社です。 当社の立場的にはパブリックコメントを申し上げるのには心苦しい面もありますが、見直しの論点の3号営業に関してのみ意見を述べさせていただきます。

1 a 風俗営業から除外することが適当かどうか
  b 除外する場合には別途の法的規制を設ける必要があるか
  c 別途の法的規制を設ける場合に、どのような営業を対象とし、どのような規制を設ける必要があるか。その場合には、客にダンスをさせる営業のみならず、客に遊興をさせる営業全体について見直しをする必要があるのではないか

aついては除外することが適当と考えています。 現行の深夜酒類提供飲食店の届出にて当局の管理が可能と思います。

 イ 猥褻性が高い事や、性風俗の秩序の乱れが容易に推測されるなどの公共の利益に反する行為が存在した場合は現行の別の法律で対応が可能なため。
 ロ 現在運営している同業他社の経営者の大半が営利事業として経営をしております。よって売春・未成年の来店による飲酒・薬物等の犯罪等の営利収益と刑事事件になった場合の罰則規定のリスク・ベネフィット計算が割に合わないことと比較して、一般的なナイトクラブ運営における継続的営業収益の大きさとは比べ物もないぐらいの差があります。したがって、経営者にとっては、犯罪によって利益を追求する誘因は全く存在せず、逆に、犯罪を排除することによる利益拡大のほうがはるかに有利です。

bについては不必要と考えます。
 ハ 規制を必要とする、いかがわしい店と、規制を不必要とする所謂、国際的水準のダンスクラブの店について両店に共通しているのは経済行為であることです。ダンスクラブに来店される成年の方々は、主に情報収集経路であるインターネットを通じて平均的な国際感覚に近い知識(どこまでが普通の店であり、どこからが猥褻性の高い店など嗜好性の強い形態であるか等)を持っており、また海外経験、映画等などの情報によってダンスクラブにおいての音楽を聴く、身体で感じる事の楽しみ方を知っておられ、必要以上の規制は、業界の健全な自由競争(大手企業の参入や初期費用の小額化)の阻害要因となっております。

cについては不必要かつ遊興の明確な定義を決めたうえで見直すべきだと考えます。
 二 3号営業の許可の観点で考えたら不必要であるが、興行場法の見直しが連動されると考えております。現行の興行場における規制緩和があると更に安全で健全な経営ができます。

2 営業時間規制の緩和
  d 現在禁止されている午前0時又は午前1時以降の営業を認める事が適当かどうか

  e 上記を認めた場合の地域住民の良好な生活環境の保持、少年の健全育成や犯罪の防止等の観点から、どのような規制が必要か
   f 上記eの場合繁華街の在り方を変えることにもつながるから、繁華街の環境浄化対策についても併せて検討する必要があるのではないか

dについては認めるべきだと考えています。
 ホ 国際社会と共存している日本において規制の時間が早すぎると思います。
   観光立国推進基本計画を観光庁にて行っております。基本的目標は平成28年度までに旅行消費額を30兆円にする、訪日外国人旅行者数を1800万人とする等の計画となっており、居住者における繁華街の営業時間と観光者における消費活動におけるものとは連動しており、時間を延ばすべきだと考えます。

eについては深夜営業に関する規制区域の制限が考えられます。
 へ 本質な問題点は、営業を行っている場所(地域)であり、営業時間を午前0時すれば良好な生活環境が営め、少年の健全育成や犯罪の防止につながる事というわけではありません。これらは別な論点であり、多種多様な価値観や国籍を持つ時代に相応しい、地域との結びつきが可能であると考えています。

fについては東京都による環境浄化対策に関しての深夜営業税の税金が考えられます。
 ト 現行の経営者がなぜ深夜に営業をするのかに関しては明確な理由があります。営業収益が良いからです。ならば深夜営業の規制をかける事で、雇用・経済の停滞を招くよりも、売上に一定の税金をかけることで、美化清掃等の地域活性化の新しい原資が生まれ、地域雇用の拡充と地域の美観等による付加価値の向上が望まれるのではないかと考えます。

株式会社さくらホールディングス
代表取締役 田副 暢宣
東京都港区六本木<以下略>